群
この記事はISer Advent Calender 2018の13日目として書かれたものです。昨日はtera_poonさんによるEMアルゴリズムについて勉強したのでまとめてみたでした。何もわからん。そして、今日の記事は完全なる穴埋めです。
群の例をひたすら挙げるだけの記事
情報数学(笑)の授業で、イメージがつかめん。具体例がわからん。ということを言っている人が居たので、ひたすら例をあげて、すっごーい!って言ってもらうために記事を書きます。でてくる用語の定義はwikiとかで調べてください。ところで一回書き終えて読み返したんですが、デスマス調が統一されてません。草。
集合hogeがfugaに関して群になる、とは、hogeという集合に対してfugaが群の演算になるという意味です。
巡回群
下の二種類しかなく、位数が同じ巡回群は全て同型になっている。アーベル群。
整数環
加法に関して(無限)巡回群になっている。元一つから生成される自由群と自然に同型。
mod nの世界。加法を のように定義。正n角形を時計回りに回転して元の状態と重なるようにする操作が、操作の合成に関してなす群と同型。
(回転と回転の合成が回転となる。回転回転とみなす。)
特に位数が素数のもの()は自明な部分群しか持たない。実は体になる。後述。
対称群 交代群
ちょいと説明が面倒なので、Wiki か 何か他のサイトをみてください。permutation と言った方がわかりやすい人もいるのかもしれない。
ちなみに、は正四面体の点を操作前後で全ていずれかの点に重なるように(形を保って)移すような操作の群(正多面体群)と一致。は立方体もしくは正八面体の正多面体群に一致。は正十二面体もしくは正二十面体の正多面体群に一致する。
ところで、立方体と正八面体の正多面体群が一致するのは、正八面体の各面の中心を結ぶと立方体ができ、正十二面体と正二十面体の正多面体群が一致するのは、これも同様に、正二十面体の面の中心を結ぶと正十二面体ができるからである。
点群
分子対称性 - Wikipedia この表にいっぱい載ってます。主に化学で分子の対象性を調べ、分類するのに使います。キラリティを調べることで、旋光性の有無に関することがわかったりする。しゅごい。wikiの下の方のフラーレンとがおもしろそう。
二面体群
二面体群。正n角形を巡回群と似たように回転させる操作がなす群。ただし、裏返すことが許される。位数は2n。回転する操作を、裏返す操作をと書くと、群は で、が成り立つ。よってアーベル群ではない。群の例として使いやすくて個人的に好き。はに一致。
(ただし机上に書かれた決まった線で常に裏返すことにしている。また、と書かれているときは、二回回転をしてから裏返すことを表す。(操作とは実は写像のことなので、右から順に操作は行われるイメージでいい。)あんまり気にする必要はない。)(最も単純なアーベルでない群として知られる。)
水分子の点群
水分子を、操作の前後で見た目が変わらないように動かす操作の群。水分子をサクランボのように紙に書いたとき、
- 何もしない()
- 紙を裏返す(回転)
- 紙に立てた鏡で写す(右と左が入れ替わる)
- 紙に平行な鏡で写す(手前と奥が入れ替わる)
これは実は長方形(正方形でない)を回転・裏返しで重なるようにする群(クラインの4群)に同型。位数は4。
アンモニア分子の点群
これも回転・鏡映で移すことを考えると、鏡の置き方が3通りで、回転軸がある。に同型。位数は6。
代数的な話
線型空間
お気付きでしたでしょうか......ベクトル空間が足し算でアーベル群をなしていることに......(係数体が有限体でないなら無限群)
行列
そりゃ行列もアーベル群ですよね......
GL(n, )
行列式が0でないn次正方行列のなす乗法群。アーベル群ではない。O(n), SO(n)などの部分群を持つ。巡回群はこの部分群だったりする。
1からn-1までの自然数のうち、nと互いに素なものの集合。積に関して群になる。
ex) みたいな演算ができる。
nが素数pであるなら、これは標数pの素体(特に有限体)になる。( ユークリッドの互除法)(例: mod 7 では、5が3の積に関する逆元になる。())
四元数
なんか、コンピュータグラフィックスで使えるらしいって書いてますね。知らんけど。
Aut(自己同型群)
ある集合に対して何らかの代数構造があって、その自己同型写像を集めた集合は往往にして合成に関して群になります。理由は簡単で、自己同型写像どうしの合成は自己同型で、id(恒等写像)は自己同型写像で合成に関して単位元になり、自己同型ならば逆写像は存在して、これが群の逆元になるからです。Galois理論とかでも使います。
そのほか
、、、ルービックキューブの群論、自由群、自由アーベル群、リー群、ホモトピー群
最後に
適当極まりない記事で申し訳ないという気持ちでいっぱいです。
明日の記事は gif011010701 さんの偏愛的音楽入門です。全部埋まったようですね、わーい!
トポロジー
はじめまして。
2年生の人です。Twitter (@_ariHira)をやっています。理情で Advent Calender がたったので、せっかくなので文章を書きます。が、ブログ書いたことがないのでむっちゃドキドキしてきました...
位相幾何学
位相幾何学とは
せっかくなので何か書こうと思い立ったのはいいのですが、コンピュータなんもわからんので、数学の位相幾何学について書きます。
位相幾何学(=トポロジー)というのは、2Aの数学科の必修『集合と位相』で習う位相というものについて詳しく調べる幾何の分野です。よくいう、コーヒーカップとトーラス体が位相同型だ、とかいうやつで、ぐにゃぐにゃ曲げると同じ形になるものは同じものとして考えてしまいます。 (ただし穴を作ったり潰したりちぎったりすることを許さない変形に限る)
対象と射
位相幾何学は幾何の分野と言いましたが、数学というものは通常、最初に"対象"と"射" (代数だと主に準同型写像と呼ばれるもの) を定義します。この場合、対象は位相空間で、射は連続写像と呼ばれるものになります。ここでは位相空間の例として、円や球、トーラス、などをあげます。だいたい何かの図形と思っておけばいいです。(ここであげる例は全ての部分空間に限定して、厳密な定義を避けます。)
連続写像の中でも、全単射で、さらに逆写像も連続になっているものを、特に同相写像と呼びます。そして、同相写像で結ばれる2つの位相空間を、同相(位相同型)であるといいます。
この同相の定義が、最初に述べた、ぐにゃぐにゃ変形すると同じになることと対応しています。
EX) 円と楕円は同相
EX) アニュラス(左)とシリンダー(右)は同相 (シリンダーは図の曲面のことです)
(アニュラスは極座標表示, シリンダーは高さと角度の組で表示)
位相幾何学の目標
位相幾何学の目標は、位相空間を同相か同相でないかによって分類することにあります。
位相空間とが同相であることを証明するためには、との間に同相写像が存在することを証明or構成すればいいのですが、位相空間とが同相でないことを証明することは悪魔の証明的に難しくなります。(←ほんまか)
位相不変量
この同相でないことの証明には、位相不変量と言うものが大きな役割を果たします。位相不変量とは、ある位相空間を一つとってきたときに、それに対して決まる数や性質、さらには群などであって、同相な他の位相空間に対しても同じ値になるものを指します。
位相不変量の例
同相ならば位相不変量が等しいという事実は、逆手に取ると、位相不変量が異なるならば同相でないという証拠になるのです。
EX) とは同相でない。もし同相であるならばから一点を除いた と、 からある一点を除いたものが同相にならなければならないのだが、前者は連結でない(連結成分2つ)のに対して、 からどの一点を除いても連結になる(連結成分1つ)ので、これらは同相になり得ないので矛盾する。
同じように と 円周 が同相でないことを証明できます。
球面 とトーラス
この区別は難しい
球面 とトーラス は明らかに同相ではなさそうに見えますが、この証明は実はかなり難しくなります。これをEuler 標数という位相不変量を使って同相でないことを証明してみましょう。
Euler 標数
点と線分と三角形のみを使って、表現される図形を考えます。
例えば、3つの頂点と3本の線分を使えば、(中抜きの)三角形が作れますし、4つの点と6本の線分と4つの面を使えば正四面体ができます。
また、4つの頂点と4本の線分で(中抜きの)四角形が作れますが、これは中抜きの三角形と同相です。
実は、このようにしてできる(カクカクした)図形は、同相ならば、オイラー標数
E = (頂点の数)-(辺の数)+(面の数)
が等しくなるという定理があります。(証明はかなり難しい)
中学校(?)で習うオイラーの多面体定理 ( オイラーの多面体定理の証明 | 高校数学の美しい物語 ) というのは実はこの特別な場合です。
カクカクのトーラス
さて、点と辺と三角形だけを使って、トーラスを作りましょう。
できましたね。
(これ断面が三角形なんですがわかりますかね......)
頑張って数えると、点が9、辺が27、面が18になるので(ここで、辺18面9ではない) Euler 標数は 0 ということになります。
(ただしここでは線と面は少し特殊な数え方をしています。すなわち、上図に書かれている線は(太線でないものも含め)全て辺として数え、辺で分割される二次元領域を全て面と呼んでいます。同じように、下の四角形(中は詰まっている)は一つの平面に乗っていますが、線5本、面2つとして数えています。ちなみに下の二つ同相で確かに になっていますね。)
また、四面体の Euler 標数は 2 です。
このカクカクしたトーラス(上図)とツルツルのトーラス()は同相で、球面()と四面体は同相になっています。それゆえ、もし と が同相ならば、カクカクのトーラスと四面体も同相ということになりますが、これらのEuler 標数は異なるので、矛盾します。すなわち、 と は同相ではありません。やったね!
興味が湧いたらこんなものもみてみてください。
https://en.wikipedia.org/wiki/Hairy_ball_theorem
球面には必ずつむじがどこかに存在するという定理です。これも位相幾何学で証明ができます。すごい!たのしい!
補足
この投稿は、ISer Advent Calender 2018 の4日目として書かれました。 昨日の記事はHelloRuskさんの